ミラクルハナミズマン
寺福 一滿
ミラクルハナミズマン
いいね。
うさぎがいっぱいいる。
ひひひ・・・
ボクは強い。
あいつ鼻水たらしてる。汚い。
鼻水垂れの”鼻水”だ。
俺の名前を間違うな！”鼻水”じゃなくて”花光”だ！
もし今度間違えたら、”鼻水の刑”にするぞ！
きゃはははははは！
ドキッ！！
こら!
お前、なんで笑ってるんだ？
なんだ。クラスで一番の笑い上戸の”笑子”か・・・。
ごめんごめん・・・。
だって”鼻水”って言われてバカにされてるのに”鼻水の刑”にするって・・・。
自ら認めてる。
笑い始めると止まらないのは知ってるけど・・・。
笑いすぎじゃねえか？
急ごう！学校に遅刻する。
しょうがない。笑子にだけ俺の”鼻水パワー”をみせてやる。
え？
よし！
そして鼻水を一気に吸う！
キャアアアアアア！！
見たか！花光の”鼻水パワー”！！
花光君が”鼻水パワー”って・・・おもしろい。
なんだ？
みんな集まって何かあったの？
ひどい。
かわいそう・・・。誰がこんなことを・・・。
”キリサキ・ジャック”って書いてある。
”キリサキ・ジャック”？
こいつがやったんだ。
いいね～
あんなに怖がって・・・。弱い者いじめって楽しい。
次はあの怖がった顔をもっと近くで見たいね～。
うっ！
ウサギがかわいそう。
犯人がはやくつかまるといいけど・・・。
そうだね。
”キリサキ・ジャック”出てこい！！
なんだ？なんだ？
汚い。
”つば”と”鼻水”が飛んできた。
バッチィ～。
ついちゃった。
花光だ。
鼻水。
おれをバカにするのか。
きゃはははははははは！
お腹痛い。
ん？
みんながオレのことをバカにする。
あっ・・・
雨だ。
ほんとだ。
すごい降ってきた。
あそこで雨宿りしよう。
雨宿り、おもしろそう！
すごい雨だな。雨がやむまでここで待ってよう。
こんなに濡れたら風邪ひいちゃうね。
ワン！
笑子はなんで”鼻水”の俺を避けないのだ？
私は気にしないよ。鼻水プラ～ン、プラ～ン。おもしろいもん。
褒められてるのか、バカにされてるのかわからない。
誰の犬かな？
野良犬だろ。
！！
この犬はオレの鼻水を嫌がらないぞ！
オレのことバカにしない！
俺、この犬のこと気に入った！
ペロペロなめるから、お前の名前は”ペロ”にしよう。
よろしくね。”ペロ”
ちゃんと手を洗ってね。
ねえ”ペロ”・・・
”ペロ”？
おしっこしてくる。
”ペロ～”あんまり奥に行っちゃダメだよ～。
どこまで行っちゃったんだろう？
見つけた！
水を飲みたかったんだ。
！！
ん？
どうしたんだ？笑子？ペロのウンチ踏んだか？
あっ！！
あれ～？もう一個いたんだ？
いいね～。
2個ゲット。ラッキー。
うるさい！
あ！”ペロ”！！
お前は誰だ！笑子を離せ！！
へっへっへ。君たちはボクに切り刻まれる運命だから、僕の名前を教えてあげるよ。
ボクの名前は霧崎若久。
別名”キリサキ・ジャック”
”キリサキ”
”ジャック”！？
お前が学校のウサギを殺したのか？
許せない。
そんなこと言っていいのかな？ボクは無敵だよ。
”無敵”の意味わかる？
よくいるだろ？ケンカに負けたことがないと自慢するヤツ。
勝てる相手としか戦わないから無敵なんだよ。
僕も同じ。勝てる相手としかケンカしないんだよ。だからボクは無敵なんだ。わかる？
君は負けるんだよ。
花光くん！！
いいね。その表情。
ボクを幸せな気分にしてくれる。
な、なにが無敵だ・・・。
無敵と尊敬される人は、「今の自分より強くなりたい」と努力して誰よりも強くなった人のことだ。
お前のように弱い者をいじめて強い気になっているヤツとは違う。
オレはそんなヤツに負けないのだ。
鼻ミサイル！！
ぐわっ！！
なにするんだ・・。くそガキ。
汚ねえ。
！！
今のうちに逃げよう。
逃がさねえ。
ひっかかった。
鼻トラップ成功！
やったー!
ヤッホー！
いてて・・・痛いよ～。
キリサキ・ジャックは大人のくせに泣いてるぞ。
お前たちが痛いおもいをする役だろう。
少し調子にのりすぎたな。
お前を一気に切り刻んでやる！！
覚悟はできたか？くそガキ。
やばい。こいつナイフ持ってるぞ！
笑子逃げろ！
キャアアアアアア！！
こいつ・・・本当に切ってきた・・・
ヒ～ヒッヒッヒヒ。
この感触最高！
次はお前だ！！
笑子！！
くそっ！
えいっ！
痛って～。
何しやがる。
おとなしくしろ。オレの楽しみを邪魔するな。
ん～！
ん～！
おとなしくしてな！
息がすえないから鼻攻撃もできないだろ。
お嬢ちゃん。オレ様に切り刻まれる時間だよぉ～。
おい！待て！
息ができない意味わかってるのか？
んぐぅ～
んぐぅ～
息ができない・・・
・・・ダメだ・・
もう我慢の限界だ・・・
ちくしょう・・・
ンンン
ン～！！
ン～
花光くん！！
あきらめたようだね。逃げてもいいんだよ。
逃げきれないと思うけどね。
ハハハ・・・
いいね。恐怖におびえたその顔がたまらない。ぞくぞくするよ。
！！！
ああ？
鼻ロケット！！！
花光くん！大丈夫？
間に合ってよかった。
どうやってガムテープはがしたの？
ペロがはがしてくれたんだ。
サンキュー。ペロ。
ワン！
時間がなかったから手足はテープでぐるぐる巻きだけど。
このままでも面白いかも・・・。コチョコチョコチョ。
あはははは！やめろ～！面白くない！！
くすぐるのは反則だぞ。
キリサキ・ジャックはどうなった？
・・・
生きてるかな？
警察に電話しよう。
雨がやんでる。帰ろう。
面白かったね。
行くぞ。ペロ。
ワンワン
花光が”キリサキ・ジャック”をやっつけたんだって？
テレビで見たぜ。
なに？なに？
”キリサキ・ジャック”は動物虐待の常習犯なんだって？
本当は気が小さいんだろ？
よくわからないけど、みんなオレのことをバカにしなくなった。
昨日のこと聞かせてくれよ。
オレ達親友だろ。
そ、そうか？
それじゃあ、話すよ。えっと・・・
ふぁ
ふぁ
・・・
・・・
昨日の雨で風邪ひいたみたいだ。
汚い。このヤロー！！
頭から鼻水をかぶっちゃった。
お前はやっぱり”鼻水”だ！
花光だ！！
花光くん面白い！！
おしまい
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